久坂部羊「無痛」
惨い一家四人殺害事件を中心として、外見だけで症状がわかる医師、痛みを感じない手術器材係、サナトリウムの子どもたちを大事にするシングルマザー臨床心理士、刑法35条に不快感を示す熱血刑事、メールのみでしか言葉を発しない14歳の少女、心醜い無職の男性、病院を拡大した一流外科医、など、個性あふれる人物たちが、それぞれの思惑でいろいろな事件に関わっていきます。
一気に読んでしまいました。気持ち悪い内容、残虐で生々しい表現もあり、それこそ吐き気をもよおすようなこともありますが、グロテスク、サイコ系が大丈夫な人は面白く読めるのではないかな、と思います。
何を大事にするのか、は、その人によって違うということ、自分の持っている特性とうまく付き合っていくことが重要、といったことを考えさせられました。
深沢真太郎「論理ガール 人生がときめく数学的思考のモノガタリ」
論理ガール 〜Lonely Girl〜 人生がときめく数学的思考のモノガタリ
- 作者: 深沢真太郎, ,菅野紗由
- 出版社/メーカー: 実務教育出版
- 発売日: 2018/08/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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数学的思考によって、人間関係、お金、仕事、遊び、恋愛、未来について考える、ライトノベル風数学本。
数学モデルでいろいろな事象を説明すること、(言葉の)定義を明確にすること、すごく明解だな、と思いました。数学的思考の女子高生と経験重視のサラリーマンという対極の主人公をおいているのも、いいのかな、と思いました。
「先輩、恋愛ってコンパ悪くないですか?」と帯にありますが、第5章では、”ときめき”を数値化して考えたりしています。
数学が苦手な人にぜひ読んでほしいですね。わかりやすいと思います。
第6章にある、これらの言葉がすごくいいですね。心がけていきたいです。
「多くの言葉で少しを語るのではなく、少しの言葉で多くを語りなさい」ピタゴラス
「数学とは、人生を語り合うための最強の”言葉”である」(p.298)
伊坂幸太郎「陽気なギャングは三つ数えろ」
「陽気なギャング」シリーズ第三弾。9年ぶり、ということらしい。最初はすっかりキャラを忘れていましたが、読むうちに思い出してきました。
銀行強盗4人と関わる人達のキャラが、あいかわらず最高で面白いです。悪役もキャラがたっていて、やりとりがいいです。ストーリーもいろいろ重層的で(もちろん、現実的ではないですが)、好みでした。
伊坂作品の中でも特に好きなシリーズで、おすすめです。前の2作を読み直したくなりました。
坂木司「アンと青春」
「和菓子のアン」の続編、連作短編集。デパ地下の和菓子屋でアルバイトをするアンちゃんが、和菓子に関わる謎を解決していく、成長物語。
前作よりは現実的でもやもやするところもありますが、ほっこりする雰囲気がいいですね。
ほしおさなえ「活版印刷三日月堂 雲の日記帳」
鳥飼茜「漫画みたいな恋ください」
Webで連載されていた日記を4ヶ月分まとめた本。昔はよくWeb日記やブログが本になってましたけど、最近では珍しいですよね。
鳥飼さんは漫画家で「先生の白い嘘」などブラックな感じ?の漫画を描いています。まだ最終巻を読んでいないので読まなければ。それで、先日、同じく漫画家の浅野いにおさんと結婚したことを発表されていました。2人とも前に学生に教えてもらって知った漫画家です。
今回、たまたまWebニュースで知って、買って読んでみたのですが、たしかにあのような漫画を描くことがわかるような暗い感じでほんとうに心情を赤裸々に書いた日記でした。なんかひきこまれます。恋人(浅野いにお)との関係、息子とのやりとり、漫画としての苦悩、など、なるほどなぁ、と思いながら読みました。共感できたというわけじゃないですけどね。
連載、ちょっとだけ無料で見れます。号外で結婚報告もあります。